2025.07.17
令和7年度 第2回講演会を実施しました。
主 催 | (一社)神奈川ビルヂング協会 教育啓発委員会 |
日 時 | 令和7年7月11日(金)14:00~16:00 |
会 場 | 産業貿易センタービル 地下1階会議室 |
講 演 | 「ビル経営をめぐる最近の法的諸問題 その2」 |
講 師 | 弁護士 鈴木 崇裕 氏 |
出 席 | 27名(申込 31名) |
【資 料】 | 講師からの提供資料を参照。 ・レジュメ ・ポストコロナの賃料増額請求 |
【概 要】 | ・講師より資料及び映像に基づき説明。コロナ禍と賃料増減額請求を振り返り、増額請求の実務、適正賃料を維持するための手段について、具体なトラブル事例や訴訟事例を交えて実務対応など分り易く説明。 ・質疑応答は、鑑定評価の取り扱いと具体な実務事例などについて解説。 |
【内 容】 | ・講師紹介:吉田修平法律事務所に所属。不動産法務の第一人者。事務所の番頭。 不動産案件を中心に年間100件を超える裁判期日のため裁判所対応。 第1-はじめに ・コロナ禍と賃料増減額請求を振り返る ・賃料増額請求の実務 ・適正賃料を維持するための手段 第2-コロナ禍と賃料増減額請求 ・振り返り ・賃料免除 ・賃料減額 ・賃料支払猶予 ・裁判上の実務 ・賃料免除→建物の利用を禁止された場合は認められた ・賃料減額→業績悪化を理由とする減額は認められなかった ・賃料支払猶予→賃料滞納による解除は一定程度制限された ◇ポストコロナの賃料増額請求の理由 ・コロナ禍の賃料免除や減額 ・物価高騰 ・周辺相場の上昇 ・立退き 第3-賃料増額請求の実務 1.任意交渉と法律上の請求の違い ・任意交渉:自由に合意できる、合意する自由、合意しない自由もある。 ・法律上の請求:最終的には裁判所が強権的に決定する。 2.借地借家法第32条に基づく賃料増額請求 ・契約自由の原則 ・特別なルール法→賃貸借契約(年月が長い、変化あり) 3.賃料増減額請求が認められるための要件 1- ①土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減 1- ②土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動 1- ③近傍の同種の建物の借賃に比較して 2- 不相当となった時:5%以上のズレ。契約時から相当の期間がたつ。 4.賃料増減額請求にあまり影響がない事情 ・業績の変動(テナントの理由) ・立退きの必要性(老朽化など) 5.不動産鑑定評価の仕組み ①差額分配法 ②利回り法 ③スライド法 ④賃貸事例比較法 第4-賃料増額請求の具体的な手順と実務対応 1.賃料増額請求の実務(モデルケース) ・オーナーチェンジの通知 ・管理会社から賃料増額の通知 ・賃貸借契約書・覚書の作成 ・弁護士から賃料増額の通知 ・テナント代理人弁護士からの応答 ・弁護士間の交渉 ・裁判 2.交渉のポイントと注意点: 時期、資料の準備、説得力ある説明方法 3.相手方が増額に応じない場合の対応方法: 弁護士による交渉、民事調停、民事訴訟 4.裁判手続のコスト:弁護士費用、鑑定費用、所要期間 5.訴訟(判決)による賃料増額請求: ・裁判所が選任する不動産鑑定士の鑑定結果に準じることが多い ・増額請求をした時点に遡って差額を請求することができる ・差額に対する年1割の法定利息も請求することができる 第5-賃料増額請求と立退き 1.賃料総額請求と立退き請求の関連性: ・正当事由制度と立退請求の困難性 ・賃料増額による圧力 ・所要経費などによる圧力 2.立退きを目標とした賃料増額請求の実務対応: ・状況と属性の見極め ・△「賃料増額→立退き交渉」か、〇「立退き交渉→賃料増額」か。 ・安易に「直近合意」しないこと(売却の不利) 第6-賃料増額請求と立退き ・実務上注意すべきポイント ・直近合意の確認 ・交渉の入り口 ・弁護士の介入 以上 記録者:事務局長 塚田 洋一 |


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