2024.08.08
令和6年度 第2回講演会を実施しました。
日 時 | 令和6年7月31日(木)14:00~16:00 |
会 場 | 産業貿易センター地下階 会議室 |
講 演 | 「最近の不動産取引における法的諸問題 その2」 |
講 師 | 弁護士 江口 正夫 氏 |
参加者 | 26名(申込32名) |
資 料 | 当日配付参照(講師から提供資料) |
【概要】 | ・講師より資料に基づき、ビル賃貸借に関する法的諸問題(その2)について、賃貸借契約書の記載表現やトラブル原因事項の対応について、法律上のポイントや解釈などを説明、改正された民法の解釈など、具体な事例を交え、分り易く説明された。 ・質疑応答は、時間がなく、質問メモで対応。終了後、個別に講師へ話された方あり。 |
【内容】 | 10 契約解除(第12条) (1)テナントの賃貸権譲渡等を理由とする賃貸者契約の解除 ・民法612条の規制の概要 ―1 承諾について (最高裁の判決事例から:2棟の1個の契約でも、2棟すべて対象など) ―2 転貸の効果 (いくつかの判決事例から:サブリースは、要注意など) (2)法人テナントの経営者や株主が変更された場合の解除条項(第12条2項3号) ・特約に関する裁判例:「脱法的な」記載より、具体の届出を義務づける方が明確。 (3)テナントの賃料滞納を理由とする賃貸借契約の解除 ①概ね3か月の滞納は、信頼関係が破壊すると判例では、判断される。 ・「相当期間を定めた催促」とは、配達証明付き内容証明郵便が届いてから1週間。 11 原状回復に関する定め(第13条) ・「直ちに」の言葉に注意。誤解を生むので具体な期日と行為の表現をすべき。 ・原状に復して明け渡すとの契約条項の法的意味は:現状では無い。定義が無い。「任意規定」であり。改正民法では「原状回復」の意味は、経年変化、通常損耗、特別損耗の内、特別損耗(通常の使用以外の引越し傷やたばこの焼け焦げ等)の回復のみ。 ◇特約の注意点:賃貸人が原状回復義務を負う部分を賃貸借契約書に具体的に記載する事。 ◇居住系と事業系の賃貸借は違う扱い。特約に具体な表現で合理性がある事。国の通達あり。 ◇東京高裁は、賃貸人側、大阪高裁は賃借人側の判例が多い。要はリスク回避の契約が重要。 12 連帯保証人(第14条) (1)連帯保証契約と更新後の賃料債務の保証 ・判例、改正民法から・保証人の「極度額」を書面等で合意する事。 ・ポイント:具体には、過去の保証人が履行した額を記録する事。 13 いわゆる反社会的勢力排除条項(第15条) ・地方公共団体で条例制定。 一般的には4つの義務ないし努力義務。 (契約しない義務。契約前の確認努力義務。明文化した契約の努力義務。解除の努力義務。) 14 賃貸目的物の一部使用収益不能への対応(災害が多い時代のトラブル原因・対応) ・使用収益不能事由に応じた減額金額を予め合意する。 ・(公財)日本賃貸住宅管理協会のガイドラインが参考になる。(状況、賃料減額割合、免責日数の表から計算する) 15 免責(第16条) ◇盗難から保護すべき管理義務を明記した契約とする。 ・判例:賃貸人の管理責任は、特約で結んだ場合に特別な事情がある事に限る。 《参考》立退きをスムースに行うために ・賃貸借の終了原因。 ・更新拒絶による明け渡し請求。 ・老朽化による立退き判例。 以上 |